子育てに関する今までの常識が覆される本

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間違いだらけの子育て―子育ての常識を変える10の最新ルール』というアメリカのジャーナリストがまとめた本を読んでみました。

日本語訳の初版は2011年6月に発行されたそれほど新しい本ではありませんが、脳科学や心理学に関する当時最新の研究データを用いて「教育に関する今までの常識」が覆されています。なので今読んでも気付きがたくさんあります。

以下でこの本に書いてあった「興味深い話」を一部ご紹介します。

※本文そのままの引用ではなく、メモを基に私の言葉でまとめています。なので間違えた解釈をしている部分があるかもしれません。

知能に関する話

親は「あなたは頭が良い」と子どもに言い聞かせ「子どもの自尊心を育てること」が学力向上につながると考えるが、実は逆効果である

頭の良さを褒めることで「持って生まれた知能」の方へ子どもの目を向けさせてしまうと、失敗した時に自力では対処できないと思ってしまう。そして、恥をさらすリスクを避けて成功しそうにないことはやらないようになる。
特に女子にその傾向がある。

頭が良いと褒めるのではなく「よくがんばったね」と「努力」をほめて、自分で結果をコントロールできると思わせるのが大事


幼い頃に測定したIQはずっと変わらないと思われているが、それは間違い

まず、幼児の知能を測ること自体が難しい。

そして、知能も身長と同じように伸びる時期、伸び方が子どもによって異なる。後からぐんと伸びる子がいる

「高度な知的活動に関する脳の場所は遅くに完成する」「知能に関連して使われる脳の場所は年齢とともに変わっていく」などの研究結果もあり、知能を早期に発達させることをそれほど重視しなくてもいい。


一見知能とは関係がなさそうな「自制心を育てるプログラム」が脳を育てる

自制心を育てるプログラム:自分でごっこ遊びなどを計画したり、独り言によって自分のやっていることを意識したりするもの。

睡眠に関する話

大人は子どもが多少睡眠不足になっても、勉強や習い事をやらせる方が大切と考えているが、それは間違い

睡眠不足が子どもに与える影響は非常に大きく、「成績」「情緒の安定」「肥満」にまで関わってくる。


学校の授業は朝早くから行われるのが普通で、その方がいろいろと都合が良いと思われている

しかし、始業時間を遅らせることで子ども達の睡眠不足が解消し、学力や精神面に良い影響を及ぼした事例がある

子どもとの関わり方についての話

多くの親は褒めれば褒めるほどいいと思っているが、毎回は褒めない方がいい

あまりに「褒める」などの報酬を与えられて育つと、報酬がなくなると努力しないようになる

報酬が出ないもどかしい時期も克服できるようにするのが大事。


良かれと思って子どもの失敗を気にかけていないふりをする親が多いが、それは良い結果を生まない

失敗についてスルーしてしまうと、子どもは間違いについて学ぶ機会がないので成長しない


多くの親は子どもとの口論は親子関係を壊すものと考えているが、多くの子どもはそうは思っていない。

子どもは、口論はむしろ親との絆を強めるものだと考えている。親は子どもを自分の作ったルールに従わせつつも、たまには子どもの言い分を聞いて譲歩してやるのがいい。

家族の人間関係の話

一人っ子よりも兄弟がいる方が対人スキルに優れていると思われているが、そうでもない。

対人スキルは、何をやっても関係が切れないので無茶が許される兄弟より、友人との関係で身につくものである

兄弟が仲良くできるかは、実は下の子が生まれる前に決まっている。
上の子が友達と良好な関係が築けていたら、弟や妹とも仲良くできる。


夫婦喧嘩は子どもに見せない方がいいと思っている親が多いが、実は子どもの前でやった方がいい。

子どもの見ていないところで喧嘩するよりも、子どもの前で喧嘩して喧嘩と仲直りのプロセスを全て見せた方が、子どもは妥協や和解の仕方が学べるし、安心できる。

子どもの嘘に関する話

親は嘘が悪い物と考えているが、子どもの発達という面から見ればそう悪いものではない。

嘘をつくというのは子どもが高度な知能、社会的スキルを身に着けているということでもある。


親たちが想像するよりも子どもたちは頻繁に嘘をついている。そして親は自分が思っているよりも子どもの嘘を見破れていない。

子どもにできるだけ嘘をつかせないようにするためには、正直であった時に高評価するのがいい
(ワシントンが桜の木を切ったことを、父に告白したら高評価されたという有名なエピソードのように)

差別に関する話

人種差別をなくそうと思って、親がその話題に触れないでいるのは逆効果である。

むしろ、男女差別のように小さい頃から積極的に人種差別について教え込んだ方が偏見がなくなる。

まとめ・私の感想

分厚い本で、翻訳されているせいか理論がちょっと理解しづらかったり、実験のやり方について詳しく触れられていて話がくどかったりする部分もありましたが、いろいろとためになったので読んで良かったです。

この本で覆された常識がまた別の研究によって覆される可能性もありますので、参考までにどうぞ。

実際、この本の中でも「2つの研究で、正反対の結果が出ている事例」について紹介されています。

また、この本の著者がアメリカ人で、実験の舞台もアメリカであることが多いので、教育制度や文化の違う日本では当てはまらない話もあるかもしれません。

この本で出ている結論が唯一の正解とは考えず、自分の考え方に合うものだけ取り入れたらいいのかなと思います。

ここで紹介している話も、私がなるほどと思ったものだけご紹介しています。

それほど常識と違わない話もあります

この本のタイトルに「常識を変える」とあるので、私も「常識が覆される」という記事タイトルにしましたが、よく考えたらそれほど常識と違うわけではない話もありますね。

例えば、

・「自制心を育てることが知能を育てることにつながる」というのは、心理学のマシュマロテストというのでも証明されていて有名ですね。

※マシュマロテストについては、『賢い子どもを育てる15個のコツ・方法 』の記事でもご紹介しています。

・睡眠の大切さは「睡眠負債」と言う名前でいろんなメディアで取り上げられるようになっています

また、この本に書いてあるような研究結果をTV番組の『ホンマでっか!?TV』で心理学者の先生方などが紹介していたりするので、意外な話ももう広まって常識になりつつあるのかもしれません。(「頭が良いと褒めてはダメ」など)

個人的には、「漠然とそうかと思っていたけど、研究によって裏付けられたと知って安心した話」もいろいろとありました。

例えば、

・親は甘すぎたり厳しすぎたりするよりも、ルールを設けつつたまには譲歩するのが一番いい

・一人っ子はコミュニケーション能力が劣っているわけではない

などです。特に一人っ子の対人能力については、私自身が一人っ子なので「ですよねー!私もそう思ってました!」って感じです。

ただ、「あんまり新しい発見はなさそうだな」と思っても教育関係者の方にはこの本を一度通して読んでみて欲しいです。

それで、今の日本の教育に取り入れられる理論がないか検討して欲しいです。

始業時間を遅らせるとか、実現してもらえたら朝弱い私はすごく助かります(笑)

子どもが早く登校するってことは、親も早起きしなくちゃいけないですもんね(汗)

コメント

  1. テンマ より:

    eisaiさん、こんにちは。

    知能に関するお話は、有名な「学力」の経済学、という書籍でも述べられていたと思います。

    仰る通り、既にメディア等で発信されている内容も多いようですが、一度読んでみたいと思いました。

    ご紹介ありがとうございます。

    • eisai より:

      >テンマ様
      こんにちは!いつもコメントありがとうございます。
      「学力」の経済学と言う本、このブログの他の読者様も最近お薦めだっておっしゃってました。
      テンマ様も読まれているなら、私も早く読まなくては!と思えてきました。
      今日amazonで注文したいと思います。

      今回の記事で紹介した本(間違いだらけの~)は、amazonの立ち読み(なか見!検索)にも対応しているので、
      もしご興味を持たれたのでしたら、先にその立ち読みをしてみてもいいかもです。
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