カリスマ数学教師/井本先生のすごい授業とは?

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「イモニイ」の愛称で知られる数学教師、井本陽久(いもとはるひさ)さんをご存知ですか?

栄光学園中学のカリスマ教師で、その授業は全国の教員やカリスマ塾講師やプロ家庭教師が見学に来るほど評判だそうです。

栄光学園ってどんな学校?

栄光は神奈川県鎌倉市にある男子校で、東大にも多数合格者を出す全国トップレベルの進学校です。

いもにい先生自身も、栄光中高出身で東大卒という経歴の持ち主です。

同じ神奈川にある聖光学院とよく比較されます。
名前や進学実績が似ており、宗教も同じカトリックみたいです。

ちなみに、子ども向けパズルアプリとして大人気の「Think! Think!(シンクシンク)」開発者の花まるラボ代表・川島慶さんもイモニイ先生の教え子です。

イモニイ先生の授業は何がどう凄いのか、『いま、ここで輝く。 ~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』(教育ジャーナリストのおおたとしまささん著)を参考にまとめます。


いま、ここで輝く。 ~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室

イモニイ式授業の特徴

※イモニイ先生が担当するのは主に中学生の幾何だそうです。

日本の中高は大学入試で得点に結びつきやすい代数に時間をかける傾向があるそうですが、トップ進学校では中学生のうちに幾何(特に証明問題)をじっくりやって論理的思考力を鍛えるそうです。

それでは、いもにい先生の授業の特徴についてご紹介します。

ゲーム性がある

授業の最後に、生徒が各自プリントの問題をどんどん解いていく時間があります。

1問解き終わるごとに教卓のイモニイ先生に見せに行き、正解なら「イエス」、不正解なら「アウチ!」の言葉をもらいます。正解したら自分の席に戻り次の問題を解きます。

問題に正解するとポイントがもらえます。イモニイ先生はどの生徒が、いつどの問題に正解したのかを全てパソコンに記録しています。

集団で考える時間がある

新しいことを習い、それを使って難しい問題を解く際には4人のグループで「どこに補助線を引いたらいいか」「どの定理を使えば証明ができるか」などを考えさせるそうです。

複数の視点や発想を取り入れることでより多くの気付きが得られ、理解が促進される効果があるそうです。

また、分からない子が手がかりもないまま時間だけが過ぎていくという事態も避けられるそうです。

証明では論理だけに集中させる

イモニイ先生の授業では、幾何の証明を超簡略化して書くことができます。

どの辺とどの辺が等しくて(例:OA=OD、OB=OC)、どの図形のどの角度が等しくて(例∠AOB=DOC)…というのをだらだら書かなくても、「根拠となる公理と、それをどの順番で使うか」を答えればOKなんです。

しかも、その公理も記号がふられているので、記号を答えるだけです。

このように証明の手続きが簡略化されていることで、論理に集中でき、場数をたくさん踏むことができます。正しい答案の作成方法はその後で学びます。

イモニイ先生は授業中、公理を「鍵」と呼び、「この問題は、どの鍵をどんな順番で使えば開けられる?」などのように問いかけるそうです。公理と呼ばれると難しそうですが、鍵と呼ばれるとわくわくしますよね!

他にも考えさせる取り組みを「試行錯GO!」と呼ぶなど、イモニイ先生はネーミングセンスが素晴らしいです。

宿題は出さない

イモニイ先生の授業では宿題は出ないそうです。その代わり、「やりたい人はやっていい」課題が配付されます。自宅でこれを解いて提出するとポイントがもらえるそうです。強制ではないですが、多くの生徒が提出しているようです。

授業内容とプリントは毎回カスタマイズする

イモニイ先生の授業プリントは毎回、生徒の提出した課題の「名解答・誤解答・珍解答」を反映して作られています。同じプリントを使いまわすことはないそうです。

模範解答は示さない

イモニイ先生が模範解答を示すことはなく、生徒たちの中から出てきた正答・誤答からみんなで学ぶようにしているそうです。

×の時は必ず反例を示させる

「命題が正しければ〇、正しくなければ×」とする問題では、〇は直感で答えてもOKだけれど、×をつける際には必ず具体的な反例を考えさせるようにしているそうです。

いもにい運営の塾「いもいも」とは?

イモニイ先生の活動は所属の学校(栄光学園)にとどまらず、現在は「いもいも」という塾も開いています。

いもいもは、イモニイの考え方に共感した花まる学習会代表の高濱正伸氏のバックアップで行われています。「儲けを考えずイモニイの好きなように授業をやっていい」との約束だそうです。塾というよりは教育実験の場みたいな感じですね。

現在は、東京の御茶ノ水と神奈川の東戸塚で中学生向けの授業が行われているようです。
また、2019年10月より、小学生5.6年生対象の新教室も開かれるそうです。

詳しくは公式サイトみんなの学び場 「いもいも」でご確認ください。

いもいもで行われている面白い授業

・『ことばでおえかき』

図形の形を、それを見ていない友達に他のみんなが言葉で伝えて正確に描かせるゲーム

・『合同二分割』

プリントの図形に補助線を描き入れて、合同の図形を作る

・『スピーチ』

友達やゲストのスピーチを受けて議論する

・『カプラ』

カプラ=板状のシンプルな積み木

お手本と同じものを記憶して再現する


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いもいもの授業のユニークな点

授業内容の面白さだけではなく、いもいもには以下のような特徴があります。

・子どもはありのままを受け入れられる、どんな意見を言っても否定されることはない

・大人が子どもを注意したりコントロールせず、子どもたちの自律性に任せる

・写真や動画をたくさん撮り、スタッフが授業の振り返りをするのに役立てる

イモニイは人柄もすごい!

イモニイ先生に人気や信頼があるのは、授業が面白いだけではなく、人柄が良いという理由もあるようです。
生徒によるイモニイの評価をご紹介します。

・生徒への愛が普通じゃない

・生徒に押し付けない

・プラスのオーラがすごい

・夢中にさせる名人

・教えてくれる人というよりも、やる気を引き出してくれる人

イモニイの金言

「これからの授業は<できた・できない>や<理解した・理解していない>ではなくて、生徒たちが授業中に本気で考えているかどうかの一点にこだわって組み立てます」

「僕のライバルはスマホやゲーム機です。彼らが家に帰ってゲームばかりやっていたとすれば、それは僕が渡した問題がゲームよりもつまらなかったということです」

「正解のない問いに対して試行錯誤できる力を鍛えるためには、じつは正解のある問いに徹底的に取り組む必要がある」

(難問に歯が立たなくてしゅんとしている生徒たちに対して)
「3カ月後にはみんなできるようになっているから、大丈夫。だって考えてごらんよ。3カ月前はこんな問題できなかったでしょ。みんなものすごい進歩してるんだから」

「初めてやることって難しいのよ。なんでかって言ったら、それが本当にできるかどうかわからない状態でやらなきゃいけないから。それでだいたい自分で自分にストッパーをかけちゃうの」

「間違えるなら、いい間違え方をしよう」

「おかしなことを考えるってのはとても大事なことなんだよ」

管理人の感想

イモニイ先生は評判通り、授業内容も人格も素晴らしくてすごい先生だなと思いました。
先生のお話の中には真似したい教え方、参考にしたい考え方が沢山ありました。

ただ、イモニイ先生は超人的なストイックさと心の広さをお持ちの方なので、他の先生や保護者が子どもに似たようなアプローチをするのはなかなか難しいのではないかと思います。
他の人は取り入れられる部分だけ取り入れたらいいのかなと思います。

おおたさんの本『いま、ここで輝く。 ~超進学校を飛び出したカリスマ教師「イモニイ」と奇跡の教室』では具体的な問題例も載っているので、興味を持たれた方はぜひおおたさんの本を読んでみてください。

本の中にはイモニイの生い立ち、フィリピンや日本の児童養護施設でのボランティア活動の話や、教育虐待を受けていた元生徒さんの話なども出て来ます。親としていろいろ考えさせられるのでぜひその部分も読んでみてください。