皆さま神童はお好きですか?ところで神童ってどんな人でしょうか?
神童の定義
神童の定義は難しいのですが、Wikipediaによれば
特定分野において驚異的な能力を発揮する人物、特に少年時代に並外れて優秀であった者に対しての尊称である。
音楽や数学等の分野で「神童」と呼ばれる例が多く見られる。
とのことです。
「勉強や音楽等に神がかった才能を示すようなお子さん」に使われるようですね。
そんな神童が私は大好きです!神秘的でいい響きですよね。私のような神童ファンにお薦めの本があります。
『神童は大人になってどうなったのか』です。去年の夏(2017年8月)に発行された本です。
神童と聞くと、私はモーツァルトを思い浮かべたのですが、この本で取り上げられている神童は近現代の日本人が多く、リアリティがあります。
最近話題になった政治家なども取り上げられていて面白いです。
中にはこの本が出た後にスキャンダルが出ちゃった人物もいます。
この本で紹介されている現代日本の神童と仰天エピソード
※私の言葉でまとめていますので、原文と少し表現が違うところがあります
※ご本人の著書を載せていますが、本の内容は今回の話題(神童)とは関係ありません
木村草太(法学者)
高校在学中に司法試験の1次試験に合格する。大学受験に失敗したら司法試験に専念しようと思っており、「司法試験は滑り止めのような感覚」でいた。
狭き門をくぐって東大の助手として採用されるが、それについて本人は「確率からいえば狭き門なんですが、自分に向いていないことはどんなに倍率が低くても苦しいし、自分に向いていることであればその人にとってはあっけないもの」と語っている。
岡田康志(医学者)
中学生の時、ブルーバックス(講談社の新書)が好きで、量子力学や相対性理論などについて読んだ。
中高時代は30万ページの読書をした。
それについて本人は「毎日200ページ読めば300日で6万ページ、それを6年間続ければ36万ページなので、ごく普通の数字ではないですか」と語っている。
種田輝豊(語学の達人)
10代で10か国語、20代で10か国語を習得し、『20カ国語ペラペラ (1973年)』という本を出版した。※現在絶版。中古なら購入可
まだ語学教材が手に入りにくい時代に、入門書を読んでラジオ講座を聴くというオーソドックスなやり方で情熱を持って語学学習に取り組み、多くの言語をマスターした。
スウェーデン語を習得した際は、スウェーデン語の「シンデレラ」の録音を少なくとも500回は聴いたとのこと。
孫正義(実業家)
『脳がちぎれるほど考えよ』を仕事の極意とし、米国留学中、1日5分で1つ発明するノルマを自らに課した。
1年間で250件ほど特許に出願できるようなアイデアを生み出した。そのうちの1つが音声付きの多言語翻訳機で、試作機まで作り、1億7000万円を稼いだ。
感受性が高く、コンピューターチップの写真を初めて見た時「人類はとうとう人類を超えるような知的生物を創り出したのか、しかもそれがこんなに美しい」と涙を流して感動した。
孫正義名語録 事を成すためのリーダーの心得100 (単行本)
この本『神童は大人になって~』の良い所、気になる所
この本の良い所
・たくさんの神童が取り上げられている
・「神童のIQ」「神童は遺伝するか」「戦時中、戦争に勝つために行われた優秀児の研究」など興味深いトピックが満載
・有名進学校からセクシービデオの男優になった人や日本一ちゃらい東大生など、真面目な本では扱いにくい人物も取り上げている
・著者が実際に会ったことがある人もけっこういるので、神童の人柄なども知ることができる
・神童の自伝など、興味深い本がたくさん引用、紹介されている
この本の気になる所
・たくさんの人物が取り上げられているため、一人ひとりのエピソードは深くない
・人物の評価については著者の好みが反映されている
・取り上げられているのは勉強系の神童が多く、芸術系の神童がほとんどいない
・タイトルと内容が違う
この本は『神童は大人になってどうなったのか?』というタイトルですが、むしろ有名人の中から幼い頃に神童と呼ばれた人を探してる感じです。
読者としては神童が凡人になった例、つまり「十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人」のケースがどれだけ多いのか知りたいのですが、それに関してはほとんど記載がありません。
そのような情報は集めにくいので、仕方がないとは思いますが。
神童あるある
この本や他の本、東大卒の夫の話を参考に「神童にありがちなこと」をまとめました。
以下のどれかに当てはまれば、あなたも神童の可能性があるかも(笑)
・幼少期から数学や音楽にすごい才能を発揮しちゃう!
(なんなら両方できちゃう!)
〇〇の再来とか言われちゃう!
・塾に行かずに難関校に受かっちゃう!
しかも受験勉強はほとんどしてなかったりする!
・独学で数か国語をマスターしちゃう!
・読書のペースと量が半端なくて図書館の本を読み尽くしちゃう!
・教科書をぱらぱらめくっただけで内容を理解しちゃう!
・目からの記憶も耳からの記憶も抜群!
本のページを写真を撮るようにぱっと記憶しちゃう!
一度聞いた話は忘れないし、必要な時に脳内で再生できちゃう!
・他の人がなぜできないのかが分からない!
(他の人がわざと間違えているんじゃないかと思うことも)
神童を育てた英才教育
このブログの読者様が一番気になるのは、「神童は家庭でどのような教育を受けたのか」と言うところだと思います。
神童に施された家庭教育についてはそれほど記述がないのですが、本文からいくつか拾ってみました。
・2歳頃から毎日、「親子がそれぞれ好きな本を読む時間」を作るようにした。その後は、その本に関する子どもの話を聞いてあげた。
‐医学者 岡田康志の母
・親は勉強には無関心で何も言わなかったが、門限が厳しかった。
家に早く帰っても自宅で特にやることがなかったので勉強をした。
‐弁護士 土井香苗談
・胎教に力を入れ、妊娠中は英語を諳んじていた、2人の息子には小学校入学から中学卒業時まで、朝3時半から2時間以上勉強させた(数学の問題を解かせ、英語や漢文を教えた)
勉強に関しては、時間よりも分量を大切にした。(一定時間勉強したところで分からないまま時間切れでは意味がないとの考えから)
遊戯の時間もしっかり作った。(遊戯によって身体が鍛えられ、頭脳鍛錬につながっていくとの考えから)
‐政治家 鳩山一郎の母
・勉強部屋に1メートル×2メートル位の黒板を買ってもらった。
別荘にも自宅の書棚にあるのと同じ本が全く同じように陳列されていた。
‐政治家 鳩山邦夫談
この本から学んだこと
神童と呼ばれる人の中にも、天才成分の高い人と、努力成分の高い人がいる
天才成分の高い人ももちろん努力をしているが、努力型の人の努力量はありえないレベル
例「1日19時間半勉強した(山口真由:弁護士)」
神童=人格者ではない
神童はむしろ一般人の感覚が分からなくて失言しちゃうこともあるようです。
もちろん、人柄も良い神童もいるようです。
エリートの中にもさらにエリートがいる
★例えば、東大を「首席で卒業」という称号があります。
以前(東京帝国大学時代)は卒業式で成績優秀者に銀時計を贈っていたことから、首席卒業者を「銀時計組」と呼んでいたらしいです。
現在東大は首席の公式認定をしていないので、「卒業生総代」になったり、「総長賞」を取った人が「首席」と自分で名乗るらしいです。
↑これ、うちの旦那がよくTVなどを見て「誰が首席かなんて分からないのに、なんで名乗ってる人がいるんだろう」って不思議がっていたので、謎が解けました。
★以前、外務省の官僚にとっては、「大学中退」の経歴の方がステータスが高かったそうです。
大学中退と言うことは、官僚試験に大学3年で合格したことを意味するからだそうです。
※現在では大卒でないと官僚になれない
神童が大人になってからも活躍する秘訣は「能動的」になること
「受け身のままではそこで終わってしまう、能動的に取り組むのが大事」らしいです。
能動的にやれば、神童でなくても神童を超える成果が出せるとのことです。
本の感想まとめ
この本の中で気になった話は、「エリート塾で出会った人と結婚することで神童が再生産され、階層が固定化されている現状がある」というものです。著者は塾の名を取って、SAPIX婚や鉄緑婚と呼んでいます。
著者は「神童再生産は予定調和的で面白くない、各地で突然変異的に生まれる神童の方が神秘性で面白い」と言っています。
その考えには私も賛成です。インドとかで貧しい家庭に天才少年が生まれるって話の方が夢がありますよね。
サラブレッド神童にも活躍して欲しいですけどね。
おまけ:私の知人の神童
私の知っている神童は、
・小学生の時に成績が断然トップ
・自分が開発したオリジナル文字で日記を書いていた
という伝説を持つAちゃんです。
※家はごく普通の家庭でした。
そのAちゃん、今は京大法学部を出て官僚になっています。
(官僚の場合、学閥的に東大の方が有利だと思うのですが、敢えて京大に行っているところに、神童のこだわりを感じます)
国費留学するなど、今でもバリバリ勉強してバリバリ働いているようです。