中学受験、志望校選びのポイントとは?

中学受験

中学受験で「志望校を選ぶ際に大事なこと」について、塾の先生やママ友などから聞いた話をまとめます。

志望校はいつまでに決める?

志望校(受験校)は「6年生の夏頃まで」にある程度絞り込む家庭が多いようです。

(秋から志望校の過去問に取り組むため)

志望校選びの主なポイント

附属校にするかどうか

「大学附属校にするかどうか」=「将来大学受験が必要になるかどうか」なので、人生計画に大きな違いが出てきます。

なので志望校は「附属校」or「附属でない学校(進学校)」のどちらかに絞る家庭が多いです
(※たまに「桜蔭と慶應」のように附属と進学校を併願する家庭もあります。また、「大学」にこだわって例えば明治大学に行きたい場合に明治大学の附属と、明治大にたくさん輩出している進学校を併願するケースもあります)

附属校は「大学受験で中断したくない趣味」があるお子さんに好まれています。
また、最近は私大が(定員厳格化の影響で)一般入試の定員を減らしているので「中学から子を入れておきたい、安心したい」という家庭にも人気です。

附属を志望する際に気を付けること

・大学の受け入れ枠はどの位か、実際にどの程度進学するのか

※大学の名前を冠していても、直属ではなく内部進学率が低い系属校(=経営母体が違う)ということもあります。

付属でも外部進学率が高い学校は「進学校的付属校」と呼ばれます。

※内部進学率が低い理由にも色々あります
「大学側の受け入れ総枠が少ない」「より難関大へ進学するため外に出ている」など

大学に子の進学したい学部はあるか、進学できそうか

附属校は大学がほぼ決まるので魅力的ですが、大学に行きたい学部がなかったり(※1)、成績のせいで行けなかったりした場合(※2)にはデメリットの方が大きくなります。

※1…行きたい学部がなく他大学の一般受験に切り替えた場合、学校の先生に受験ノウハウがなく、友達が受験勉強をしていない中一人で勉強しなくてはいけない大変さがあります

※2…行きたい学部の人気が高い場合、成績優秀でないと行けません。例えば慶應医学部に内部進学するには学校でトップ層である必要があるので、かなり難しいです。医師を目指しているなら別の中学に行った方が医師になりやすいです

内部進学の推薦を保持したまま外部受験が可能かどうか

※「国立大なら内部進学の権利を保持したまま受験OK」とか「附属大学にない学部を受験するならOK」など色々と条件が違うようです。

附属でない学校(進学校)を志望する際に気を付けること

・「大学合格実績」の内訳をきちんと確認する

早慶、海外大などの合格実績は、1人が複数校、複数学部に合格している(延べ合格)数なので、実態が分かりづらくなっています。

「実合格者数」はどのくらいなのか、帰国子女枠の合格実績ではないか、現役と浪人の割合、などを調べるといいと思います

・指定校推薦はあるか、その枠が今後なくなる予定はないか

※指定校推薦については文書として出していなくても、説明会などで先生に尋ねると口頭で教えてくれるケースがあるようです

共学にするか、別学(男子校・女子校)にするか

共学と別学を併願する家庭もありますが、基本的にはどちらかに決めて志望校を絞り込む家庭が多いです。

共学のメリットは実社会に近いこと、デメリットは女子がリーダーになりにくかったり、男子が女子に言い負かされたりすることなどです。

別学のメリットは異性の目を気にせずのびのびできること、性別の特性に合わせた指導ができること、デメリットは異性が苦手になる子もいることなどです。

基本的に有名進学校には男子校・女子校が多く共学は少ないのですが、最近は「渋谷教育学園(幕張・渋谷)」など共学進学校の人気が高まっています。

ちなみに国学院久我山のように「基本は別学で校舎や授業は男子と女子に分かれているけれども、委員会などは男女一緒に活動する」というユニークな学校もあります。

偏差値帯的に現実的かどうか

今の親世代の受験期には「偏差値が1でも上の学校へ」という考えの家庭も多かったようですが、近年は偏差値よりも「学校と子どもの相性」を重視する家庭が増えているそうです。

とはいえ、今でも偏差値は志望校を決定する上で重要なポイントの一つです。

中学受験塾が出している偏差値表を眺めて、「子と同偏差値帯の学校の中から見学等に行ってみる」というのは現実的な戦略で良いと思います

偏差値は子ども的には「これまで一番良かった偏差値」で想定しがちらしいのですが、現実的には複数回テストの平均値で考えるのが良いらしいです。

通学可能範囲をどこまでに設定するか

「どこまでを通学可能とみなすか」は家庭によって違います。新幹線通学や、片道2時間かけて通学をしているお子さんの話も聞きますが、実際には「片道1時間前後までが目安」「片道1時間半が限度」にしている家庭が多いようです。

色々な学校で先生に話をうかがった印象では、平均の通学時間は1時間くらいのようです。

可能なら平日の通学時間に現地まで行ってみると、通学可能か判断しやすいと思います。

※直線距離は近くても交通手段がなくて通い辛いことがあります。

※遠い学校に通うため電車に始発から終点まで乗る場合、始発からだと座れるので所要時間に比べて意外と楽で、通学時間に宿題などができるケースもあります。

※東日本大震災、コロナなどの影響で「いざというときに歩いて帰宅できる距離の学校から選びたい」という方針の家庭もあります。

※鉄道の延伸によって通いやすくなり、急に人気が出る学校もあります。

※遠い学校は通学自体も大変ですが、定期代も高くつきます。その辺りまで計算しておくといいと思います。

<寮のある学校について>

通学可能な範囲でなくても「寮のある学校」なら入学することができます。

寮のある学校としては、トヨタ自動車などが設立に関わった愛知県の海陽中や、鹿児島県のラ・サール中などがあります。

寮のある学校の中にも、「全員が寮に入る全寮制の学校」と「希望者のみの学校」があります。

海陽は全寮制です。ラ・サールは寮以外に指定下宿という選択肢もありますし、自宅から通っている生徒さんもいます。

公文式がやっている神奈川県の公文国際学園にも寮があります。東京など、通える範囲の生徒さんも好んで寮に入っているケースがあるようです。

寮に入ると反抗期の子どもが親とちょうど良い距離感を保てたり、自立したり、通学が楽で勉強時間を確保しやすかったりするメリットがあるようです。

親にとっては子どもの学校を気にせず転勤しやすいというメリットがあります。

自主性を尊重する学校にするか、面倒見が良い学校にするか

校風、生徒の指導方針としては大まかに「自主性を尊重している学校」「面倒見が良い学校」に分かれます。

子どもには自由な学校が人気、親には面倒見が良い学校が人気という傾向があるようです。

自主性を尊重する学校は、言い換えれば放任主義です。勉強は本人や家庭任せになります。

例えば麻布は自由な学校として有名です。基本的には校則がないそうです。

面倒見が良い学校は、宿題や小テストなどが多い傾向があるので、入学後それが負担に感じる可能性もあります。

受験者数が多いことで有名な栄東は、面倒見の良い学校として知られています。塾に行かずに学校の授業と補習だけで大学受験できるそうです。

伝統校にするか新興校にするか

伝統校のメリットはこれまで培ってきた良き伝統、校風があることです。知名度も高いです。
OB・OGが多いので、母校繋がりで人脈を作りたい場合にも役立ちます。

新興校のメリットは臨機応変に時代の求めているものを取り入れているところです。語学などの実用的な教育プログラムが充実しています。

都心型の通学が便利な学校にするか、郊外型の広い学校にするか

都心型の学校は通学には便利ですが、校庭が狭かったり、グラウンドが遠方にあってそこまで移動しないといけないなど運動するのに良い環境とは言えません。

郊外型の学校は広々としており設備も充実している傾向がありますが、自宅の場所によってはアクセスが悪く通学が大変です。

放課後塾に通う場合の選択肢も少なくなります。

同じ渋谷教育学園の経営でも、渋谷教育学園渋谷は都市型の学校で、渋谷教育学園幕張は郊外型の学校なので見比べてみても面白いと思います。

宗教系の学校にするかどうか

学校の特色として宗教があるかないかがあります。宗教校の中にも仏教、カトリック、プロテスタントなどがあります。

宗教系の学校も、特にその宗教の信者ではないと入れないということはありません。
お寺の子どもがキリスト系の学校に通っているケースもよくあります。

ただ、宗教系の学校は、教育内容や入試問題にも宗教色があるので、それに馴染めないお子さんもいるかもしれません。

※例えば、浦和明の星は入試に「聖書の知識を前提とした問題」が出ることがあるようです

同じ宗教系でも、宗教色の濃さは学校によるので、実際に学校の雰囲気を確認してみてください。

洗足学園は一応宗教校ではないのですが、創設者がクリスチャンだったので学園名も聖書に由来しており、教育でも奉仕の精神を大切にしているそうです

弁当は必要か(給食、学食、パンの販売などがあるか)

私立中高は基本的にはお弁当持参の学校が多いです(給食のある学校は青山学院横浜英和中など、首都圏で10校程度)

毎日お弁当を作るのが大変だと思う家庭は、学校選びの際に「お昼ご飯は毎日お弁当かどうか」について調べるといいと思います。

お弁当以外の選択肢としては、給食、購買(惣菜パンなどの販売)、学食などの選択肢があります。食べ物の自販機を置いている学校もあります。

ちなみに栄東など、中学には給食があるけれど、高校からはお弁当(もしくは学食)という学校もけっこうあります。ご注意ください。

その他の学校選びのポイント

土曜日にどの程度授業があるか、授業がなくても部活があるか

※公立中高や国立中高が基本「土曜は全て休み」なのに対し、私立中高は基本的には土曜授業があります。

ただし、まれに土曜授業のない私立中高や、月1、隔週等で土曜休みの学校もあります。
(土曜に授業がなくても、部活で結局行くケースもあるので、そこまで要チェックです)

生徒の雰囲気

生徒さんの登下校風景を見るとだいたいその学校の雰囲気が分かります。

ただ、登校時は先生が通学路に立っている学校もあり、下校時よりも真面目にしている生徒が多いようです。

そのため生徒さんの実際の様子は、登校の際よりも「気が抜ける下校の際」にチェックすると分かりやすいそうです。

国際教育、外国語教育の力の入れ具合

※国際教育、外国語教育に興味のある方は、英検は何年生で何級くらいを取得するのか、海外研修はあるか、在学中に留学できるか(その場合留年になるのか)、海外大に進学する生徒はどの位いるか(学校からのサポートはあるか)などをぜひ聞いてみてください。

教育活動に模擬国連(国際会議を生徒がシミュレーションしてみる活動)を取り入れている学校もけっこうあります。

広尾学園などはこの分野(海外大への進学サポート)に力を入れており、大変人気校になっています。

ITの活用

※最近ではだいたいどの学校も力を入れていると思いますが、コロナ禍のオンライン対応の早さ、授業でのデジタル機器の活用、ネットでの情報発信などについてもチェックしてみるといいと思います。

復学制度があるか

※転勤や海外赴任の予定がある家庭は、復学制度とその条件について超チェックです

上級生やOBOGとのつながりはあるか

※卒業生と在校生が話す機会を設けている学校があります。

トラブルが起きた際どう対応してくれるか

※いじめ、不登校などのトラブルにどう対応しているのかも聞いておくと安心です。

制服が好みか

毎日着る物なので、制服が好みかどうかは特にお子さんにとって学校選びの重要な要素になってきます。

制服を着ない(=私服登校する)学校を好むお子さんもいます。

制服だけでなく、通学カバンについても要チェックです。中身が重くなりがちなので、リュックのある学校が人気です。

最近では女子のスラックスを導入している学校も増えています。

学校全体の設備(校舎やトイレなど)、きれいさ

※図書室やプールなどの施設が充実しているか

理系に力を入れている学校の中には、一棟丸々実験施設が入った「実験棟」を持つ学校もあります。

入りたい部活動はあるか、活動日数や時間など

お子さんが何かスポーツや趣味などに打ち込んでいるなら、その施設や部活動がある学校の中から志望校を選ぶのがいいと思います。
(温水プールやテニスコート、クイズ研究部、鉄道研究部など)

※桜蔭のように同じ部活動を、「がっつりやりたい子たち」と「ゆるくやりたい子たち」の2グループに分けている学校もあります。

文化祭や体育祭などの内容

※どの行事にどの程度力を入れているのか、それをお子さんが楽しめそうか要チェックです
開成は運動会にすごく力を入れている学校なので、それを見てとても憧れるお子さんもいれば、敬遠するお子さんもいるようです。

学校独自の取り組み

その学校独自の取り組み内容を知り、「いいな」と思えばその学校の校風に合っているお子さんだと思います。

例えば豊島岡は前身が裁縫学校だったため、毎朝運針の時間があります。作品をつくるのではなく集中力を養うのが目的なので、縫った糸は抜いてしまいます。この取り組みを好意的に捉えるか否かでお子さんが豊島岡に合っているかどうか分かると思います。

志望校選びのアドバイス

・志望校が絞り込めないなら、まずは近隣の色々な学校に足を運んでみるといいようです。

最初はどの学校も魅力的に見えるかもしれませんが、比較していくうちに色々見えて来るようです。

・学校説明会で先生にどんな質問をしていいのか分からない人は「学校説明会では先生に何を質問したらいいの?」のページもぜひ読んでください

・滑り止めを考える場合は、できれば試験日程が早く「早い段階で合格をもらえる学校」が良いようです。

志望校選びに役立つ番組

『THE名門校 日本全国すごい学校名鑑』は名門校を1校ずつ取材、紹介している番組です。志望校選びに役立ちます。