中学受験に関する話をまとめました。
まったく知識のない方にも分かるように書いているので、既に知識のある方は適宜読み飛ばしてください。情報に間違いがあればツイッターなどでご指摘いただけるとありがたいです。
中学受験のメリット・デメリット
中学受験のメリット
・良い大学に入るための王道である(大学の進学実績が良いのは中高一貫校であり、その多くは中学から入るのが普通)
特にその傾向は強まっているようです。
女子のトップ校の一つ「豊島岡」が、2022年度以降は高校からの募集をやめると発表して話題になっています。
・高校受験を回避できる(中学2~3年は多感な時期なので、そこで受験勉強させたくないという考えなどから)
・内申点がない(中学受験せず公立中学から高校受験するなら「内申点」が重要となる。しかし内申点は子どものタイプによっては良い評価を得にくい。具体的には、先生に気に入られるタイプでないと厳しい)
・私立大学の附属校に入れたら学歴がほぼ確定するので安心できる(近年首都圏の私立大が定員を絞り難易度が高まっているので、子を中学受験で付属校に入れたい家庭が増えている)
東京出身・私立大卒の人は私立の学歴を高く評価しがちだけど、地方出身・国立大卒の人は国公立の学歴を高く評価しがち(私立は国立を諦めた人の行くところって考えの人も)
しかし今は私立大の難化が進んでるので、後者の親は現在の難易度を知り、自分の中での私立大の評価を上げないといけないと思う— 英才教育ママの端くれ (@eisai_kyouiku) October 21, 2020
・国立大学の附属校だと高校までは成績が良ければ内部進学できる。
中学受験のデメリット
・塾の費用が高い(小6では年間100万以上)
・親も子も時間と労力がかかる(多くの子が3年間通塾、高学年は毎日遅くまで勉強。習い事にかける時間を減らす必要もある。また、親も献身的にサポートする必要がある)
・精神的に辛い(まだ未熟な子どもが長時間勉強するのは難しい。中学受験しない友達は遊んでいるし、現代はゲームやネットなどの誘惑も多いし、勉強がはかどらないことが多い。上手く出来ず親に八つ当たりすることも多々ある。親はお金をかけているのに勉強しない我が子にイライラする。そして我が子の成績に一喜一憂する)
※中学受験を描いた漫画『二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (1) (ビッグコミックス)』を読むと受験期の親子の心理状態が分かりやすいです
中学受験の基礎知識
・中学受験の塾通いは小3の2月から、まずは週2程度通うケースが多い。
※公立中高一貫校なら、小4の2月から
・入試日程は、東京と神奈川は2月1日が解禁日なので、それ以降の数日に集中している。
埼玉と千葉は1月中旬から始まるので、埼玉・千葉の学校を東京や神奈川の子が練習で受けに行くケースも多い。
・最近増えてきたのが午後入試。受験生は午前と午後で2回も試験を受けるので大変だが、選択肢が増えると言うメリットがある
同じ学校を午前と午後で受けてもいいが、午後入試の方が倍率が高く、偏差値が高く出る傾向があるので合格は難しくなる
・入試で成績が良ければ、特待生になれる学校もある
・受験科目は基本「国語・算数・理科・社会」だが、科目を絞る学校もある
最近は英語で受けられる学校も増加している
中学受験の人気校について
「御三家」と言われる伝統の難関校
男子…開成(かいせい)・麻布(あざぶ)・武蔵(むさし)
女子…桜蔭(おういん)・女子学院(じょしがくいん)・雙葉(ふたば)
「新御三家」と言われる難関校
男子…駒場東邦(こまばとうほう)・海城(かいじょう)・巣鴨(すがも)
女子…豊島岡(としまがおか)・鴎友(おうゆう)・吉祥女子(きちじょうじょし)
※学校名の読み方が難しいところがあるのでご注意。
読み方が分からない時は学校のウェブサイトのURLを見るといいかもしれません。
その他の難関校
・御三家は神奈川バージョンもあります。
・国立なので御三家には入っていませんが、男子校の筑波大学附属駒場(つくばだいがくふぞくこまば、略して「つくこま」)は最難関校です。
また、関西にある最難関校、灘(なだ)は関東から受けに行く人も多いです。
・共学だと渋谷教育学園渋谷(略して「しぶしぶ」)、渋谷教育学園幕張(略して「しぶまく」)、広尾学園(ひろおがくえん)などが人気です。大学付属校の慶應義塾(けいおうぎじゅく)なども人気です。
・都立の一貫校、小石川も高偏差値の人気校です。
御三家に受かっても蹴って小石川を選ぶ人もいるらしいです。
小石川は特別枠(推薦枠)で受けることもできます。コンクール等で受賞歴のあるお子さんが対象です。
・一時期は人気が低迷していても、女子校を共学に変えたり、教育に特色を出したり、入試日程をトップ校とずらしてその併願校として人気が出ることがあるようです。今後も新しい人気校が出てきそうですね。
男女別学、共学それぞれのメリット
<男女別学のメリット>
・偏差値の高い伝統校には男子校、女子校が多い。勉強の得意な子は別学を目指すことが多い
・性別に合わせた効果的な授業ができる(例えば、女子は話し言葉で説明した方が理解しやすい、男子は図解した方がいいなど)
・学校内に同性しかいない方が活躍できる場合がある。例えば、数学が得意な女子は、女子校の方がそれを自覚しやすい
また、女子は共学では生徒会長になりにくいこともある。逆に、女子の方が口達者でしっかりしているので、共学校の話し合いなどでは男子が押されてしまうこともある
・異性の目を気にせず過ごせる(オタク的な深い趣味を持つ仲間とワイワイしやすい)
<共学のメリット>
・異性に慣れることができる(男子校、女子校出身者には異性と接するのが苦手な人も多い)
・異性の得意な分野に良い刺激を受けることができる(数学の得意な男子、語学の得意な女子など)
・異性の目を気にして、身だしなみなどに気を遣うようになる
・男女別学は減ってきている。共学も視野に入れた方が受験校の選択肢が多くなる
公立中高一貫校、付属校それぞれのメリット・デメリット
中学受験は「私立の中高一貫校(高校までの学校)」を目指すイメージが強いですが、近年は「公立の中高一貫校」「大学付属校」も人気が高まっているようです。
公立中高一貫校のメリット・デメリット
<メリット>
・授業料は安いのに良い教育が受けられて進学実績も高い
<デメリット>
・試験の問題が特殊で、きちんと対策をしないと受からない
・試験は作文やグラフを読み解くなど「適性検査」と呼ばれるものになるが、enaなどの塾に通って対策する子が多い
・倍率が高いのに1校しか受験できないので、他の私立を併願する子も多い
ただし、私立とは傾向が違うので対策が中途半端になる(例えば私立を受ける子に比べ、歴史の知識が足りないなど)
※公立中高一貫校については『むぎっ子広場』というサイトなどに情報があります。
付属校のメリット・デメリット
<メリット>
・大学への進学がほぼ約束されているので、安心できる
・別の大学を目指すとしても、付属校に入ることは「保険」になる
内部進学資格を保有したまま他大学を受けられる学校もある
・受験勉強に時間を費やす代わりに好きなことができる
例えば、授業ではディスカッションやプレゼン技術について学んだり、放課後はスポーツや趣味に打ち込んだり、経営や資格試験などの勉強をしたりできる
<デメリット>
・進学できるという環境に甘えて、全く勉強しなくなる子もいる
・外部大学を目指す仲間が少ないので、もし外部大学を受験するなら強い意志が必要
関東の中学受験四大塾
関東の中学受験四大塾の特徴をご紹介します。
SAPIX(サピックス)略して「サピ」
御三家などのトップ校に強い塾。
最上位クラスはα(アルファ)と呼ばれる。大規模校にはαクラスが複数あり、最上位のα1からα2、α3…と細かいレベル分けがある。α1(アルファワン=アルワン)は憧れの対象
弁当を食べる時間が設けられてないので、親は弁当を作る必要がない
通塾日が比較的少ない
家庭での勉強は復習重視
テキストは『基礎力トレーニング』、略して「基礎トレ」と呼ばれる
テキストを毎回もらってくるのでその管理(整理)が大変
ついていくための個別指導(プリバート)や家庭教師を利用する家庭もある
代々木ゼミナールグループ
四谷大塚(よつやおおつか)
幅広い学力層に人気の塾だが、系列校が多く直営校は実は少なめ
家庭での勉強は予習重視
テキストは『予習シリーズ』略して「予シリ」と呼ばれる
このテキストの評判が良く、実は早稲田アカデミーでも使われている
塾に直接行けばテキストを売ってくれたり、通販でも買えるので自宅学習で使っている人もいる
全国統一小学生テスト(無料で受けられる大規模テスト)の開催で有名
東進ハイスクールの傘下
日能研
電車内によく広告(パズルのような問題)を出しているので、受験と関係ない層にも有名
受験期には受験校最寄り駅などに応援広告も出す
受験の枠を超えて「考える力を育てる」ということをモットーにしている
オリジナルバッグ(Nバッグ)は一周まわってオシャレと評判で、きゃりーぱみゅぱみゅもこのバッグを持った姿をネットにアップした
受験会場では駅からNバッグの子について行けば良いと言われている
家庭での勉強は復習重視(予習はしない方が良いらしい)
授業用テキストは『本科教室』、復習用テキストは『栄冠への道』という名前
特待生制度あり
関東の四大塾の中で関西に一番進出している
早稲田アカデミー(わせだあかでみー、略して「わせアカ」)
受験前にはハチマキを巻いて気合を入れるなど、熱血のイメージがある
特別コースはNN(何がなんでも)という名前がつけられていることからもそれが伺える
その分教師の面倒見も良いと言われている
家庭での勉強は予習重視
系列校にSPICA(スピカ)という上位校を狙う専門塾がある
特待生制度あり
高校受験もやっている
四大塾の補足
四大塾をイニシャルトークする時はS(サピックス)・Y(四谷大塚)・N(日能研)・W(早稲田アカデミー)と表される。
関東四大塾以外の注目の塾
関東四大塾の次に大きい塾としては、栄光ゼミナールや市進学院などがあります。
大手塾が優秀な子だけを集めた塾も人気で、栄光ゼミナールのZ会エクタスや、早稲田アカデミーのSPICAなどがあります。
グノーブルも難関を目指す子に人気の塾です。グノーブルについて知りたい方は『少数精鋭?中学受験グノーブル説明会の情報まとめ』をご覧ください。
中規模のところでも、ジーニアス、エルカミノ、VAMOS(バモス)などは代表が本を書いていたりして有名です。
関西だと関東とはまた事情が違い、浜学園、馬渕教室、日能研関西、希学園、などが人気です。
浜学園は駿台と組んで関東にも駿台・浜学園という中学受験塾を作っています。
コメント
お~、これはまたまたとても参考になります!
すばらしいまとめです。
eisaiさんはお子さんを小学校受験させたけど、中学受験はさせたい!という方針なのだなと思っいました。
中学校受験するというのはブレないですね。すごいっ!
おかげで情報を引き続きいただけるのでありがたいです。
うちはまだ決めかねていますが、公立小学校になったら中学受験せざるをえないと思います。
今お子さんが小学校低学年の友達と話すと、時代の変化を感じます~。
私が中学生の頃は日能研は「難関校を受ける子が行く塾」という感じでした。
それが今はSAPIXになっているようですね。
>rinko様
娘は小学校受験しましたが、中学受験もする予定です。
私立小に行くというと中高もそのまま上にあがるのかなと思われがちですが、うちの子が進学する私立小は全員中学受験する学校なんです。
(いわゆる「受験小」と呼ばれるところです)
中学受験するなら公立で良かったのではと思う人もいるでしょうが、うちは小学校の6年間をより充実させるために私立小を選びました。
もちろん、公立小にもメリットがあるので公立から中学受験というのも良い選択だと思います。
昔は中学受験のための塾と言えば日能研が抜きんでていたと、うちの夫も言っています。
今は難関校向けの塾と言えばSAPIXで、通っているだけでステータス!みたいなところがあるらしいですね。
うちの子も、優秀なお子さんと切磋琢磨して欲しいので、通うならおそらくSAPIXかなと思っています。まだまだ先の話ですが。
公立小学校は近いから、そこは最大の魅力ですよね。
中学受験のために塾に通う時は、それがかなり利点になりそうです。
私が大学生の時(かなり前です)に「SAPIX進学実績はすごいけど、結局成績上位の人を優遇して、成績が悪い子はいろいろやってはもらえない。」というような話は聞きました。
たぶん今もそうなんじゃないかなと。
私はそういう塾はあまり好きではないのですが、夫は「企業の戦略としては正しい!」と言っていました。まぁ、言いたいことはわかります。
eisaiさんのこちらの記事に「無理して難関校に入ればいいというものではない。」というようなことが書いてありますが、これは塾でも言えるかもしれないですね。
無理して何とかSAPIXに入れれた!というような子ならば、違う塾で上のほうにいたほうが精神的に楽で、後から伸びたりもありそうです。
SAPIX入塾テストが難しそう。
たぶん昔から公文をやっていて早く正確に計算できるとか、そういうことができていないと突破できなそう・・・と思いました。
>rinko様
「結局成績上位の人を優遇して、成績が悪い子はいろいろやってはもらえない」というのは大手はどこもそうみたいです。
もちろん、中には熱心に指導している先生もいるとは思いますが。
「成績が悪い子はお金を落としてくれる『お客様』」と皮肉を込めて呼ばれることもあるそうです。
SAPIXにどうしても入りたいなら低学年から入ると入塾テストもそれほど難しくなく、席が確保できるようです。
例えば小1では簡単な計算や読み書きなどがそこそこできるくらいでいいようです。
でもrinkoさんのおっしゃるように、無理してSAPIXに通うより本人に合った塾でのびのび学んだ方が良いケースも多いと思います。